加津佐に創設した活版印刷所
−マインツから加津佐まで−


印刷画像史学科
松久 卓

 長崎県島原半島といえば、先年噴火して周辺地域に大きな災害をもたらした雲仙普賢岳があるが、その近くに白亜の島原城が聳えている。天守閣には島原地方の歴史年表が展示されていて「1591年(天正19年)加津佐において日本最初の活版印刷が行われた」とあり、これは注目すべきことだとは関心をもった。
 この事実は更に136年前にさかのぼらなければならない。なぜならば、ヨーロッパ、ドイツ国マインツの人、ヨハネス・ゲンスフライシュ通称グーテンベルクが、1455年に活版印刷術を発明した事実があり、加津佐における活版印刷の始まりは、印刷術が地球を半周して日本へ導入したことに他ならないからである。だが、これに至る道程はイエズス会の一巡察使アレッサンドロ・ヴァリニャーノの非凡な構想と手腕によって実現できたというべきであろう。これら一連の事実を追求した論文。