印刷教育研究会の未来
―印刷教育研究会設立20周年を迎えて―

国際印刷大学校学長
工学博士 木下堯博


 1985年(昭和60年)9月29日、東京晴海の日本離島センタービルで設立総会を行ってから20年を迎える。設立20年前の1965年(昭和40年)頃から、印刷の教育・研究の活動に関し、著者がドイツ留学で得た経験から業界、学会などに働きかけ、いろいろ議論されてきたが、とりあえず学会に印刷教育部会を設置することになった。しかし、中心となる核がなかったため2〜3年は活動したが消滅していった。
 日本にはアメリカの印刷教育協議会やRIT、更にイギリスのLCP、ドイツのダルムシュタット工科大学、マインツ大学のような強力なリーダシップのある機関はなかった。ロシアのモスクワ印刷大学を中心とした東側の印刷教育研究会は韓国の中部大学校への対応をもたらし、拡大傾向を続けていた。
 1980年(昭和55年)10月から1983年(昭和58年)6月まで印刷情報に連載していた「印刷及び画像材料」をベースにして、1984年(昭和59年)3月に編集者4名と執筆者22名で同書を上梓(全349頁)した。印刷教育研究会はこの4名の原稿料と印税を原資として準備会が設置され、業界の協力も得て設立に至った。
 1985年9月の設立から2004年までの20年間、印刷教育研究会の成果は海外との交流を図り、印刷教育・研究者の連帯を深め、カリキュラム、教育内容を改革して来た。しかし、印刷系の学科名称の変更や廃科などがあり、印刷教育の衰退がみられた。新しい時代のニーズがある情報、環境、福祉、国際化などを取り込み、人間が全生涯にわたり環境の変化に対応できる能力を与えることを基本とし、印刷教育には未来に備える力を育成するプログラムが必要となる。
 活性化委員会では、すでに理事会報告にあるように短・中期的な取り組みを議論しているが、これからの20年後の長期的展望も必須となる。
その基本は人類の多種多様の創造活動を可能にする教育が印刷分野でも必要であると考えている。印刷産業・同関連産業において富を生み出すには基礎研究から実用研究、それらの受け皿である企業の組織と人材の教育・研究にあることを再認識し、各自が積極的に行動することが大切である。
 国際印刷大学校は平成15年度全国中小企業団体中央会から「ECのe-ラーニング」の助成を得て、「印刷産業における電子商取引のe-ラーニングによる研修」を行った。
各印刷及び関連団体の協力で全国から約80名の受講があり、合格者にはECエキスパートの認証を与えている。平成16年度から株式会社が大学などの教育・研究に参加出来るようになり、印刷教育研究会も新しいチャレンジを期待している。(印刷教育研究No.19)